本記事では、塩ビ管やシートなど様々な用途で使われるPVC(塩化ビニル樹脂)の再資源化に適した粉砕機・破砕機の選び方を解説します。熱に弱いというPVC特有の性質を踏まえた選定ポイントをまとめているので、機器導入やリサイクルライン構築の比較・検討にお役立てください。
廃棄されるPVC(ポリ塩化ビニル)をリサイクルしやすい粒度に加工する設備です。PVCには、塩ビ管や建材などに使われる「硬質PVC」と、シートやホースなどに使われる「軟質PVC」があり、処理対象によって適した機器が異なります。また、他の汎用プラスチックと比較して熱に敏感という特徴があるため、専用の対策が施された機種を選ぶことが重要です。
PVCを粉砕・破砕する際、最も注意すべきなのが摩擦熱による熱劣化です。PVCは一定以上の熱が加わると分解し、腐食性の高い塩化水素ガスを発生させるリスクがあります。そのため、一般的な廃プラ処理以上に設備への工夫が求められます。
粉砕時の発熱を抑えるため、低速回転で処理できる破砕機を選んだり、粉砕機本体に水冷ジャケット(冷却機構)を搭載した機種を選定したりするのが一般的です。効率よく冷却することで、PVCの焦げ付きやガスの発生を未然に防ぎます。
万が一のガス発生に備え、粉砕機の内部や刃物に耐腐食性の高い材質・コーティングを採用できるかどうかも重要です。機械自体のサビや劣化を防ぐことで、設備の長寿命化と再生原料への異物(サビなど)混入を防ぎます。
パイプ(塩ビ管)や継手、建材などの硬質PVCは、衝撃に強く硬いため、十分なトルク(破砕力)を持つローターや、耐摩耗性に優れた刃物が必要です。長尺の塩ビ管を処理する場合は、専用のホッパー(投入口)や水平押し込み機構を持つ機種を選ぶと、安全かつ効率的に処理できます。
農業用フィルム、シート、ホースなどの軟質PVCは、弾力があるため刃に巻き付いたり、伸びて切断しにくかったりする傾向があります。切れ味が悪いと摩擦熱が過剰に発生するため、軟質材の切断に適したシャープな刃形状(シザーズカット機構など)を持つ機種や、巻き付き防止構造を備えているか確認することが大切です。
また、処理物の形状(長尺パイプかシートロールかなど)や必要な処理サイズによっては、一軸・二軸など破砕機の構造による処理特性の違いも選定時に確認しておきましょう。
PVCの処理は、単純に細かくするだけでなく、「熱劣化をいかに防ぐか」「硬質・軟質の性状に合っているか」という専門的なアプローチが必要です。性能や価格だけでなく、PVCの処理実績が豊富かどうかが重要な選定基準となります。
また、塩化水素ガスによる設備の腐食リスクを熟知しており、冷却機構の提案や耐腐食性部品へのカスタマイズに柔軟に対応できるメーカーを選ぶと安心です。
対象物(塩ビ管、シート、壁紙など)によって最適な機器は変わるため、事前にテストカットを実施し、発熱具合や処理能力を確認できるメーカーを候補に入れましょう。当メディアでは、PVC処理の実績があるおすすめの粉砕機・破砕機メーカーを厳選していますので、比較・検討の材料としてお役立てください。
粉砕機・破砕機の専業メーカーで、硬質PVCパイプや継手、雨樋から、軟質PVCホース、農業用フィルムに至るまで、幅広いPVC成形品の処理実績を豊富に持つ会社です。
主力となるVシリーズは、PVCパイプで200〜300kg/h、硬質PVCパイプで1t/hという高い処理能力を実証。独自のヘリカルカッタと固定刃による剪断切断により、粉末や微粒の発生を抑えながら軟質材もシャープに切断可能です。摩擦熱や粉じんを抑えた処理ができるため、熱劣化が懸念されるPVCの再資源化と非常に相性の良い設計となっています。
| シリーズ名 | Vシリーズ |
|---|---|
| 型式 | V-480 |
| 分類 | 剪断式粉砕機(射出・押出・ブロー成形品用) |
| 主な処理対象 | PVCパイプ/PVC継手/PVC雨樋/PVCホース/硬質PVCパイプ/PVCシート等 |
| 出力 | 4P・15kW |
| 刃の構成 | ヘリカルカッタ(回転刃)+固定刃 |
| 投入口寸法 | 要問合せ |
| 総重量 | 約1,250kg |
| 特記事項 | 粉末・微粒の発生を抑えるヘリカルカッタ構造(PVCパイプ200〜300kg/h、硬質PVCパイプ1t/h等の導入実績あり) |
一軸・二軸・四軸破砕機から粉砕機まで幅広く手掛ける破砕機器メーカーです。硬質・軟質を問わず対応可能な「C400シリーズ」は、破砕室を15度に傾斜させ、油圧駆動プッシャーが負荷に応じて対象物を押し込む構造を採用しています。
長尺の塩ビ管やかみ込みにくい成形品もスムーズに投入でき、過負荷を検知するとプッシャーが自動で押し戻しを繰り返してトラブルを防止。空冷装置付き油圧ユニットを搭載しているため、連続運転時の油温上昇にも耐え、硬質PVCなどの高負荷材でも安定した破砕を維持します。
| シリーズ名 | EnMa C400シリーズ【分離型】 |
|---|---|
| 型式 | EnMa C400-1000L |
| 分類 | 一軸破砕機(中型傾斜プッシャー式) |
| 主な処理対象 | 硬質プラ/廃プラスチック/大型樹脂成形品/PVC管・硬質塩ビ廃材等 |
| 出力 | 45kW/55kW |
| 回転刃 | 69枚 |
| 固定刃 | 3×2または3×1 |
| ホッパー開口寸法 | W1,000×D700mm(ローター径φ400mm) |
| スクリーン | φ15mm〜任意 |
| 総重量 | 約4,800kg |
プラスチックリサイクル向けに高度な破砕・微粉砕・洗浄ラインを展開するドイツの有力メーカーで、国内では伊藤忠マシンテクノスが取り扱っています。
「PUシリーズ」は、硬質PVCの再生粉(リグラインド)の微粉砕用途に最適化されたモデルです。粉砕室内での滞留時間を極力短縮したディスク式設計により、回転ディスクと固定ディスクの間で材料を瞬時に微粉砕し、熱が蓄積する前に機外へ排出。熱劣化リスクが極めて高いPVCの微粉化において、品質を損なわずに高品質な再生パウダーを生成できます。
| シリーズ名 | Pulverizer PUシリーズ |
|---|---|
| 型式 | PU 650 |
| 分類 | 高速ディスク式微粉砕機(インパクトディスクパルバライザー) |
| 主な処理対象 | 硬質PVC再生粉(リグラインド)/PEペレット等の粒状・脆性材料 |
| 出力 | 要問合せ |
| 刃の構成 | 回転ディスク+固定ディスク |
| 投入方式 | 中央定量供給(負荷制御機構付き) |
| 総重量 | 要問合せ |
| 特記事項 | 粉砕室内の滞留時間短縮設計、外部からの最適ギャップ調整機構 |
洗浄と粉砕を同時に行い、塊をほぐして汚れや水分を飛散させる独自技術※1により、汚れた廃プラを高純度原料へと再資源化。洗浄時に発生する排水の処理設備を含め、プラント全体を支援します。
年間300件以上のサンプルテスト※2で得たデータに基づき、汚れた廃プラを再資源化できるか導入前に評価。設備投資後に「汚れが落ちず再資源化できない」と判明するリスクを抑えられます。
粗大プラ・混合廃棄物を、分解せずそのまま投入できる大型破砕機を提供。1.9mサイズを15~30cm程度※3にできるため、トラックへの積み込みや搬出作業の負担を減らせます。
1時間あたり最大40tを処理※4できるほか、負荷に応じて回転数・方向を自動制御する機能で噛み込みによる停止リスクを軽減。処理待ちの廃棄物が滞留して保管スペースを圧迫する事態を防ぎます。
成形機から出た単一樹脂が他材料と混ざる前に粉砕できるよう、機械横に設置しやすい省スペース・低振動機などを展開。バージン材に近い純度の再利用で、コスト削減や歩留まり向上を狙えます。
成形工程別の専用機により、形状・材質が異なる工程端材でも微粉やヒゲの混入を抑制。粒度が安定し、溶融ムラや計量精度のブレを抑えられるため、成形不良防止につながります。